公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム(H26)

若者の自立・社会参画支援プログラム

もくじ

支援プログラムテーマ
受託自治体名
取り組みタイトル
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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)
2.事業の目的、目指した成果
3.事業の概要
4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制
5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果
6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ
7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略
事例シート
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支援プログラムテーマ

テーマ1 若者の自立・社会参画支援プログラム

受託自治体名

岡山県勝央町

取り組みタイトル

町民全体で子ども・若者をサポートする体制づくり

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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)

岡山県勝央町は県の北東部に位置し、面積54.09K u、人口約11,500 人、小学校2校、中学校1校、県立高校1校の小さな町である。子ども・若者支援に取り組み始めた平成22年度、中学校の不登校出現率が4.85%と深刻な問題となっていた。町では、様々な不登校対策(生徒指導連絡会・ケース検討会議での検討、学校に教育支援員を配置、教育委員会事務局に家庭教育支援員を設置するなど)を行ってきたが、高等学校に入学以降、義務教育終了後の支援体制は連携をとっているものの十分ではなく、学校卒業後の就職状況についても把握はできていない。また、引きこもりやニート等の正確な把握もできていないのが現状であり、義務教育修了後の支援体制の構築が勝央町の喫緊の課題となっている。

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2.事業の目的、目指した成果

引きこもり・ニートという問題は、極めてデリケートな問題であり、行政が把握することがなかなか困難な問題である。勝央町のように小さな町では、身近な人や既存の町内組織の存在が不可欠である。公民館を拠点に活動している「ボランティア協議会」や「文化協会」、またユースアドバイザー(YA)養成講習会の修了者と連携を図ることにより、地域に「ちょっとおせっかいなおじさん・おばさん」を増やしていくことで、『町民全体で子ども・若者を見守る体制づくり』を目指していきたいと考えている。具体的には、@マンパワーの確保と意識啓発、A体験学習・就労体験メニューの開発、B不登校・引きこもり・ニートのサポートネット相談室への誘導を進めることにした。

@については、ちょっとせっかいなおじさん・おばさん(理解者)を前年度よりも1 人でも増やすため平成24 年度から開催しているYA養成講習会修了者フォローアップ講座への参加者を増やすこと、そして、子ども・若者支援を専門的に行っているNPO法人から講師を招き、町民全体に参加を呼び掛け、前年度よりも参加者を増やすことを目指した。

Aについては平成25 年11 月に実施したアンケートに基づき文化協会やボランティア協議会、スポーツクラブ加入団体と協力して体験バンクの整備と活用をすること。

Bについては、民生児童委員と保護司アンケートを実施することで、平成25 年11 月に実施した実態調査で明らかになった引きこもり21 人をさらにサポートネット相談室への誘導を進める。また、相談室の利用が増えることで引きこもり者21 人が就労に近づくことができるという成果を期待している。

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3.事業の概要

本町が、『子ども・若者をサポートする体制づくり』に取り組んだきっかけは、平成22 年度の中学校の不登校率が4.85%と深刻な問題を抱えていたことにある。取組のプロセスは、平成23 年10 月から岡山県の市町村におけるネットワーク構築促進事業を実施、平成24・25 年度は内閣府の子ども・若者支援地域協議会の設置モデル事業を実施、平成25・26 年度は文科省の公民館等を中心とした社会教育活性化プログラムを実施し、4 年間にわたりこの問題に取り組んできた。

○平成23 年度「市町村におけるネットワーク構築促進事業(岡山県)」では、

@ 役場内の関係部署、近隣の関係施設へ事業説明
A 先進地視察(徳島県上板町)
B 事業啓発のための講演会を実施
C 勝央町子ども・若者サポートネット準備会の立ち上げを行った。

○平成24 年度「子ども・若者支援地域協議会の設置モデル事業(内閣府)」では、

@ 代表者会や実務者会の開催
A ユースアドバイザー(YA)養成講習会(理解者→相談者→支援者→専門的相談員)の開催
B 事業啓発のための講演会の開催を行った。

○平成25 年度「子ども・若者支援地域協議会の設置モデル事業(内閣府)2 年目」では、

@ 先進地視察(秋田県藤里町)
A 代表者会や実務者会の開催
B YA養成講習会(理解者→相談者→支援者→専門的相談員)の開催
C 事業啓発のための講演会を引き続き行いながら
D 7 月26 日に勝央町子ども・若者サポートネット(協議会)の設立を行った。

内閣府の事業は、協議会の立ち上げが大きな目的で、体制整備は進んでいるものの具体的な事業展開をどうすればよいか展望が見えずにいた。また、平成23・24 年度に関係機関や町民へ事業説明する際に「勝央町に一体どれだけの引きこもりがいるのか」という質問に答えることができなかったため、実態調査の必要性を感じていた。

○そんな中、平成25 年度「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム(文科省)」の採択を受け、

@ 相談員の任用
A 実態調査を実施
B 不登校児・不登校傾向児の親の会「ほっこりサロン」の開催(平成26 年2 月に立ち上げ以後、毎月1 回開催)
C 体験バンク作成のための「居場所づくりアンケート(文化協会、ボランティア協議会、スポーツクラブ対象)」を実施

○平成26 年度「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム(文科省)2 年目」では、次の7 項目について事業を行った。

@ 居場所および拠点として「サポートネット相談室」の開設(平成26 年12 月1 日開設、12月〜1 月の相談利用者17 名)
A 子ども・若者相談サポーターの採用(3名、内2名はYA養成講習会修了者)
B 民生児童委員・保護司アンケートの実施(H27 年2 月)
C 体験バンクの作成(平成25 年11 月に実施したアンケートに基づき文化協会やボランティア協議会、スポーツクラブ加入団体と協力)
D YA養成講習会修了者のフォローアップ講座の開催(5 回)
E 代表者会の開催
F 意識啓発のための講演会開催(平成27 年1 月14 日 NPO法人育て上げネット 井村良英氏、38 名参加)
G 不登校児・不登校傾向児を持つ親の会「ほっこりサロン」の開催。

これらの取り組みの中で、YA養成講習会修了者のフォローアップ講座と、意識啓発のための講演会は、地域住民への学習支援のひとつとなっており、子ども・若者の現状を知り、自分にどのような支援ができるかを考える良い機会となっている。また、受講生からは、気になる人の情報が寄せられ、声掛けが進んでいる。この学習機会が、『町民全体で子ども・若者を見守る体制づくり』への第一歩だと実感している。

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4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制

【計画立案段階】
平成23 年度、健康福祉部や産業建設部(就労担当課)はもちろん、町内外の子ども・若者支援機関の代表者に参画していただき、勝央町子ども・若者サポートネット準備会(=代表者会)を立ち上げ、サポートネットの設置・事業運営について検討を重ねた。
平成24 年度、代表者会において勝央町子ども・若者サポートネット(協議会)を立ち上げることを目的に協議を重ねた。また、YA養成講習会では、参加者に子ども・若者たちの現状を知っていただくため、サポートネット構成団体に協力していただき、それぞれが持ち得る情報や活動を講義していただいた。

【取組実施段階】
代表者会で事業運営等についての検討を継続しつつ、「子ども・若者支援団体」や「協議会構成団体」との連携により、YA養成講習会や講演会を引き続き実施。支援者の体験メニュー作成・実施については、「勝央町ボランティア協議会」「勝央町文化協会」「勝央町スポーツクラブ」に協力を依頼し、連携しながら進めている。
また、事業取組当初から関係団体や町民への説明会を実施するたびに「勝央町には引きこもりが何人いるのか」という質問が出るが答えることができなかったため、実態調査を実施した。
実施に当たり、調査項目や集計方法を吉備国際大学心理学部教授にご指導いただき、集計と分析を依頼した。実態調査への協力を依頼するため、自治会や町内団体へ事業主旨の説明を行うとともに、無線放送や広報紙等を利用し周知徹底を図った。
その後、実態調査によって明らかになった引きこもり21 人をサポートネット相談室への誘導し、更には今後のサポートネットへの関わりを認識していただくことを目的として、勝央町民生児童委員と勝英地区保護司会勝央支部にアンケート調査を依頼した。
勝央町では、この事業を、単に子ども・若者問題ではなく、地域コミュニティの再構築を目指す事業であると捉えている。以前から教育委員会が取り組んでいる家庭教育、冒険遊び場、英語で遊ぼう、放課後子ども教室、学校支援地域本部などの事業でも、子どもたちに体験の場を提供し、子どもの体力づくり・学力づくりを目指している。また、異年齢者や地域の大人との関わり、子どもを見守る体制づくりを進める中で、子ども・若者問題の『予防』になっていると感じている。健康福祉部の事業においても、妊婦教室・両親学級、新生児訪問、乳幼児健診、保育園の関わりから困り家庭の把握と救い上げを実践しているが、小・中学校へ情報を繋ぐなど教育委員会との連携もできている。

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5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果

(得られた成果)
YA養成講習会修了者フォローアップ講座と講演会については、YA修了者の継続参加に加え新規参加者もあり、参加者の意識が高まった。これにより、サポートネットの認知度が高まり「町民全体で子ども・若者を見守る」という機運が高まっていると成果を実感している。また、相談室を開設して2 か月で17 件の相談利用があり、10 件の事例が上がったことに対し成果を感じている。

不登校支援について、学校との情報共有や役割確認など連携を強化することができた。

実態調査や居場所づくりアンケート、民生児童委員・保護司アンケートを実施するため説明に伺ったことで、調査の目的が達成されただけではなく、サポートネットの周知ができ、更には各自が持っていた情報を寄せていただけるきっかけとなった。

得られた成果として、引きこもり者支援の事例をあげる。30 代男性、7〜8 年仕事をしておらず引きこもり状態。相談員の家庭訪問を経て、本人とは自立に向けて良好な関係作りができ、町イベントにおいて大がかりな芸術作品の設置をするという有償ボランティアを体験。このことが本人の自信となり農業肥料の会社に就労。3 か月就労の後、会社社長の信頼を得てサブリーダーの立場になった。

(想定していたが得られなかった成果)

体験学習・就労メニューの開発(体験バンク)については、団体への協力説明と意向調査に時間を要し、事業期間内でまとめることができなかった。活用まで実行できればジョブトレーニングの機会も期待でき、町内企業にも参加を呼び掛けるといった広がりも期待できる。

また、不登校・引きこもり・ニート対象者の特定化については、アンケート実施による成果はあるものの、限られた職員数で進めることは困難なため、「数字より内容」で焦らず丁寧に対応したい。事業説明等で信憑性を高めるための対象者特定化ではあったが、特定化するための調査を実施することで、町民の理解を得たことと、サポートネットの周知は成果が出た。特定化はそれほど重要に考えないほうが良いのかもしれない。(意識しすぎると、犯人捜しの様になるかもしれない。) 現在、相談室を「居場所の拠点」としているが、「相談室=居場所」は運用面で無理があるため、年度末を目途に別室の確保を進めている。居場所を、将来はサポステの役割を担う拠点にしたい。

YA修了者について、平成24・25 年度に実施したYA養成講習会修了者は30 名。現在、相談員の補助的役割として修了者2 名を相談サポーターとして採用しているが、その他の修了者の活用プランができていない。「修了者の役割は、気になる子への声掛けであり、そういう子が居ればサポートネットへ繋いでほしい」とお願いしているが、具体的な支援をしたいという修了者のニーズには応えることができていない。また、具体的に子ども・若者や家族と関わるとなると「修了者だから相談者として適正かどうか」という人材登用の判断基準の設定が難しい。

YA修了者の活用について、今後は、「体験バンクが本格始動した際、研修先に出向く時の引率者」や、「居場所を設置した際のスタッフ」、情報は入ったものの対象者本人や家族からの相談ではない場合の対応策として、事例やサポートネットの情報を掲載したチラシを持って自宅を訪問するなどの「訪問スタッフ」として活用していきたいと考えている。

また、役場内関係部署との連携体制について、教育委員会内ではサポートネットの必要性への理解が進んでいるが、町長部局との連携が十分ではなく、町民にとって親切でわかりやすい仕組みづくりが今後の課題だと感じている。

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6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ

○「マンパワーの確保と意識啓発」では、子ども・若者の理解者を増やすため、YA講習会や講演会を開催。参加者にとって、子ども・若者の現状を知り、自分にはどのような支援ができるかを知る機会になっている。参加者を増やすため、町内無線放送やメール配信、広報紙、新聞などあらゆる広報媒体を使って告知する他、町内組織や団体に出向き説明し参加者を募った。

○「体験学習・就労体験メニューの開発」では、文化協会やボランティア協議会、スポーツクラブに協力いただき、体験バンクの作成を行った。「文化協会が持つ多様な活動メニュー」がすべて有効とは考えられないとの指摘もあるが、支援を受ける人の特性も多様であるため、地域の生涯学習の拠点である公民館が有する限りの人的ネットワークを生かし、多様なメニューで対応したい。ただ、体験バンク内で軽度な作業内容から就職活動間近な作業内容などメニューのランク付けをし、対象者本人が就労に対する意欲を継続できるようステップアップ方式にするなど工夫したい。軽度な作業も1 人でできる内容を4〜5 人で体験できる等の配慮も必要と考える。体験バンクがきっかけでひとりでも多くの対象者が一歩外に踏み出すことができれば有効であると考える。

○「不登校・引きこもり・ニートの実態把握」をするため、調査を実施。漠然といるだろうと感じながら事業を推進するより、実態調査により具体的に数値が見えることで、内部の推進力が高まった。調査方法については、調査項目や集計方法について吉備国際大学心理学部の教授に指導とアドバイス等を依頼。自治会や団体への説明や無線放送、広報紙を使って調査の主旨説明や協力依頼を行った。また、開設した相談室には相談員が留守中でも対応できるようYA養成講習会修了者の中から相談サポーターを採用。実態調査で明らかになった引きこもり21 人をサポートネット相談室への誘導できるよう、更に民生児童委員・保護司に説明を行い、業務内外で有している情報を提供していただけるようアンケートを実施し、情報共有を図った。この事業は、人と人との繋がりが重要で、崩壊しているといわれる地域コミュニティの再構築事業と言っても過言ではなく、それだけに焦らず着実に進めなければならない。

◎「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム(文科省)」は3 年計画事業であったが、本町が子ども・若者支援に取り組んだのは平成23 年度からで4 年目を迎える。1〜2 年の短期間でできることは、協議会(事業母体)の立ち上げ、住民や関係機関への意識啓発・周知・協力依頼、相談窓口の設置である。また、可能であるなら早い段階で実態の把握は必須と思われる。次に、3〜5 年でできることは、相談を受けた後の対応として体験プログラムの開発と就労支援の開発、また、実施に伴う人材確保と実施体制づくりである。6 年以上の長い年月を要するのは、『予防』と『就労支援』。幼少期からの関わりの中で早期発見し、不登校・引きこもり・ニートを生まない『予防』をすること、また、対象者に応じた支援方法でいかに就労へ繋げるのか。そして、多くの町民が関わることで地域コミュニティ再構築をしていくことである。

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7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略

平成26 年度で国の事業は終了となるが、今後も継続して、町費で相談員と相談サポーターを配置し、相談室の運営、学校や関係機関との連携(代表者会とケース検討会議の実施)、YA講習会や講演会を開催し、継続的に事業を実施したい。 新たな取り組みとしては、@報告書の作成、A体験バンクの充実(サポステのようなプログラム開発)、B相談室と居場所の分離、CYA修了者の積極的な起用、D不登校・引きこもり・ニート対象者のサポートネット相談室への誘導、E図書館の機能を活かした就労支援サービス(支援コーナーの設置とレファレンスの充実)、F町民にとってわかりやすく親切な仕組みづくりを展開していきたい。

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事例シート(ダウンロードファイルに同梱)




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この情報の問い合わせ先

文部科学省 生涯学習政策局 社会教育課 公民館振興係
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
電話:03-5253-4111(内線2974)