公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム(H26)

地域の防災拠点形成事業プログラム

もくじ

支援プログラムテーマ
受託自治体名
取り組みタイトル
ダウンロードファイル
1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)
2.事業の目的、目指した成果
3.事業の概要
4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制
5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果
6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ
7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略
事例シート
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支援プログラムテーマ

テーマ2 地域の防災拠点形成事業プログラム

受託自治体名

愛媛県松山市

取り組みタイトル

久米地区防災意識向上事業

ダウンロードファイル

(PDFファイル)

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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)

久米公民館区は、市内中心部から南東7 キロに位置し、人口は微増しながら平成27 年1 月現在で30,523 人、高齢化率21.2%の地域である。人口増加や社会状況により、人・自然・文化と「関わる力」≒「社会力」の衰退が懸念されてきた。そこで、解決策として平成17 年から、公民館が主体となり、「@安全で安心なまちをつくる Aまちの事をよく知ってもらい、誇りと愛着を持って貰う B人と人とが出会うきっかけづくり」の方向目標を掲げ、子縁・志縁をツールに、NPO や大学等と協働して事業展開をしてきたが、住民の当事者意識向上を達成するまでには至らなかった。一方、東日本大震災から始まった岩手県住田町との交流から、現地で使用していた木造仮設住宅一棟を貰い受けることになった。それを契機に、9 年間で7 回作成している防犯・交通課題用の「安全・安心マップ」に、防災情報を入れて作成することにした。現在、各町内では自主防災が組織されているが、住民の「自助・近助・共助」を確立するまでには至らない実状もあったため、主体者として防災に取り組む人材の育成と地縁の再構築が必要と考えた。

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2.事業の目的、目指した成果

【目的】
(1)住民による安全・安心なまちづくりのために、防災を手段として、まちを点検し、防災意識の向上を図る。
(2)被災地(岩手県住田町)の状況を知ることで、後方支援地域の課題を発見する。
(3)小学校と協働で避難訓練を行うことにより、現状の避難訓練の課題を発見する。

【目指した成果】
(1) 小学生・中学生・大学生・住民が「まちあるきワークショップ」により、防災上の危険個所を抽出、それを地図に書き入れ優先順位を熟議するなかで、まちづくりの意識を高める。
(2) 災害時に後方支援地域と想定される地域でも、住民のネットワーク・災害に備える準備が必要と気づき、さらに、設置した仮設住宅を震災モニュメントとして活用するよう周知を図る。
(3) 現状の被災者受付名簿は、子ども一人でも書けるのか?被災時に筆記で間に合うのか?検証し、松山市危機管理担当部局に提案する。

以上3点を通じ、情報が地域防災の担い手意識を育むことを認識する。

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3.事業の概要

【事業@】8 月24 日実施 安全・安心マップ改善のための「まちあるきワークショップ」実施→小学生・中学生・大学生・保護者・教諭・地域住民・防災士・行政関係者等、多様な人材の参画により校区内10 コースを歩き、地域の課題箇所を発見しマップに載せる情報を収集する。→集まった情報を整理し、発行済の安全・安心マップに防災情報を追加した新たなマップを作成・配布する。
→記載する情報を選択する議論が、必然的に互いの目線の違いを気付かせ、メディアリテラシー力を育むと同時に「関わる力」を育む。

【事業A】9 月末住田町の実際に使われていた仮設住宅を移設・設置・完成させる。→10 月21日 防災シンポジウム開催→「まちあるきワークショップ」に参加した児童・生徒・保護者からの感想発表の後、住田町町長・安永公民館長・学校長による防災シンポジウムを開催する。
→被災地の現状を直接聞くことで、後方支援地域としての課題発見と情報を知ることによる担い手意識・防災意識の向上に繋げる。

【事業B】10 月26 日 合同避難訓練開催→学校の児童引き渡し訓練と併せて、6 年生で2 チーム(児童35 名+保護者15 名、計50 名×2=100 名)をつくり、1 チームはQR コード読み取り、もう1 チームは手書きによる避難者名簿作成に要する時間の社会実証実験を実施。

【事業C】2 月24 日 完成した新たなマップを「久米地区青少年健全育成連絡会」で配布し、その後、オープンの事業検討委員会を開催。振り返りと反省・今後の改善点等を検討する。 →学校との合同避難訓練や現状のマニュアル課題発見と評価委員等の意見を入れることにより、地域防災の担い手意識を育み、住民がまちづくりの主体者であることに気付くことを促す。

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4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制

過去にNPO しょうまち・NPO えひめ子どもチャレンジ支援機構・筑波大学・岡山大学・国士舘大学・東京大学・世田谷社・独立行政法人建築研究所等とテーマ毎に協働でまちづくりに繋がる事業を行ってきたので、今回の実践でも過去の協力者に打診し、「この指とまれ」方式で組み立てた。さらに、地域団体としては久米地区青少年健全育成連絡会を通じ、学校・町内会・防災協会等、子どもと関係する全ての地域団体と協働する合意を得てから松山市に事業提案を行った。あくまでも、公民館が自主的に企画・立案し、行政に投げかけるというプロセスを経た。しかし、防災を切り口としたことで、新たな参画者として、松山市危機管理担当部局と国士舘大学の紹介で愛媛大学が加わり、来年度以降は協働相手の厚みを増すことが出来た。

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5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果

【得られた成果】
避難者名簿の子どもの手書き記入では65%の不備、QR コードの読み込みによる名簿作成は手書きより2.43 倍速いことが判明した。アンケートでは、事業@とAの参加者満足度は80%を越える好評価であった。さらに、それぞれの事業で提供された災害の情報が意見に反映される結果が出た。また、事業Aでは被災地情報が提供された結果、後方支援への意識が高まる結果となった。地域防災や東日本大震災支援に高い関心を持ち実践する層がいる一方、子育て世代など地域防災活動が難しい層がいることも判明した。今後、地域防災と後方支援の担い手を育てる上で、意識だけでなく防災活動の実施可能性も考えること、若い世代は後方支援の担い手になりうる可能性があること、事業Aのシンポの内容とあわせて自助の意識啓発が重要であること、さらに、身近に要支援者がいる人は防災の担い手となる可能性があることもわかるなどがアンケート分析の結果により把握できた。(別紙資料参照)

【想定していたが得られなかった成果】
危機管理の基礎は情報。価値観の源は興味・関心と仮定していた。つまり、まちづくりに価値をおく人材の育成は、まちへの興味・関心をどう育むかでもある。それらを育む手段として「まちあるきワークショップ」を実施している。今回の事業では延べ800 名の参加を得たが、それが防災の主体者を育み、次に各主体者が協働し循環していく過程とその支援策が、1 年間では見えてこなかった。また、事業に参加した人への住民アンケートは、見方によればコアメンバーであり、参加していない人との比較ができなかった。さらに、合同避難訓練は、時間制限のため6 年生2 クラスの参加としたことで、低学年の効果測定ができなかった。

子どもの参画に関しての質問をいただいた。下記はその質問に対する回答である。

@ 子どものまちづくりへの参画は、時間と手間が掛かることを認識して取り組む必要がある。公民館事業の「里山づくり・里山キャンプ」「安全・安心活動」「通学合宿」等では、大人が場をつくり子どもを呼び込むことを約5 年間程度継続してから、6 年目になって子どもによる場づくり、「つくられる」から「つくる」に変えることができた(ロジャー・ハート「参画のはしご」6〜7 の段階)。最初から子どもによる場づくりまで期待しても難しい。大人は、方向性として、子どもの主体性を育むことを意図して事業展開していくなかで到達していくものと考えている。社会教育は、1 年目は事件、2〜3 年で実績・歴史、4 年以上たってはじめて伝統になる。
A 今回の事業に関しては、従来の信頼関係から、初年度ながら子どもの参画は協働体制から入れた(5〜6 段階)が、7 段階までは構築できなかった。
B しかし、防災意識に関しては、参画の7〜8 段階までいく必要性がある事業なので、来年度以降の事業展開のなかで「生活防災」のキーワードを生かし階段を登って行きたい。
C そのためには、継続した事業展開を視野に入れながら、新たな社会教育の評価・成果システムを行政は組み立てる必要があると感じる。人数・満足度のみの評価からフィールドワーク⇒調査の見える化⇒全体像の把握⇒改善案⇒実践⇒検証のプロセスを評価する仕組みを構築する必要があると思う。具体的実践例は下記7 ページ参照

http://ua.t.u-tokyo.ac.jp/others/tenken_tebiki.pdf

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6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ

地域課題を見つけそれを解決するためには、事業計画が必須である。ただし、事業計画には、進むべき道を示す「方向目標」と一定期間に何をどこまでするのかを規定する「達成目標」がいる。二つ揃ってはじめて事業計画。もちろん目標には「活動内容」と「方法」を示さないと実効性がない。手段が目的となりやすい社会教育では、そこに留意して活動を続けている。子縁・志縁による取り組みにより、これまでも地域以外から多くの支援をいただいてきた。特に、大学関係者やNPO にはフィールドワークの場として地域を提供することで、互恵関係を生み多くの協力・示唆をいただいている。今後ともその関係は続けていこうと考えている。また、震災以降の住田町支援は個人的ネットワークから始まったが、今回の事業により組織同士のネットワークとなった。今後とも持続可能なかたちで交流を続けていきたい。

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7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略

今年度の取り組みは久米小校区1 校であったが、逐次「久米地区青少年健全育成連絡会」に報告し承認を得ていた。年度末の会では、久米地区内の残り3 校区も実施して欲しいとの要望があった。松山市と協議し、次年度からは市単独事業として、1 年に1 校区ずつ実施することになった。また、社会福祉協議会からは福祉情報も一緒に記載して欲しいとの要望も出たので、今後検討していく。予算的には厳しいが知恵を出し、毎年少しずつ改良し、3 年間継続していく予定である。今年の合同避難訓練は、学校スケジュールに後乗りだったため、児童引き渡し訓練と避難所開設訓練を行い煩雑であった。来年度は年度当初から協議し、学校と地域のニーズを両方満たし、種(シーズ)をまく協働避難訓練としたい。また、松山市危機管理担当部局には、社会実験による結果をもとに災害避難場所としての学校の役割・マニュアルの整備を提案していこうと考えている。さらに、事業評価委員会で松村委員から提案された「生活防災」というキーワードに沿った事業展開に挑戦し、防災活動を防災運動に昇華させていこうと考えている。質問にあった今後の市行政との関わりは、事業を展開していくなかで有効なプログラムを協動で開発して、マップづくりのように全市に広げていきたいと考えている。

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事例シート(ダウンロードファイルに同梱)
















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この情報の問い合わせ先

文部科学省 生涯学習政策局 社会教育課 公民館振興係
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
電話:03-5253-4111(内線2974)