公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム(H26)

地域人材による家庭支援プログラム

もくじ

支援プログラムテーマ
受託自治体名
取り組みタイトル
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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)
2.事業の目的、目指した成果
3.事業の概要
4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制
5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果
6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ
7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略
事例シート
この情報の問い合わせ先

支援プログラムテーマ

テーマ3 地域人材による家庭支援プログラム

受託自治体名

岐阜県揖斐川町

取り組みタイトル

公民館を中心に、人と人をつなぎ、世代と世代をつなぐ家庭教育支援

ダウンロードファイル

(PDFファイル)

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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)

<地域の現状、抱える課題>
揖斐川町は、岐阜県の最西部に位置する自然豊かな町である。1町5村が合併し新町となった平成17年には26,192人(国勢調査)であった人口が平成27年2月現在22,706人となり減少が著しい。加えて地域のつながりの希薄化や少子高齢化、核家族化が進行している。このような状況から、子育てをする親を取り巻く環境も大きく変化している。親が身近な祖父母や地域の人に、子育てについて相談する機会が減っており、町外から嫁いできた母親などにとっては、なおさら地域にとけこめず孤立しがちな状況である。平成25年12月に町が実施したアンケートでは、「親が子育てをする上で、気軽に相談できる人はいますか。また、相談できる場所はありますか。」との問いに「ない」と答えた人も存在した。このことから、子どもの親が悩み、不安を持ったときにそれを抱え込まず、ためらわずに話せる身近な人、場所の創設が必要である。近年統合により学校数が減少しており、そこでは人々が集いつながり合う拠点として公民館が今まで以上に重要な役割を担うことが地域住民から期待されている。

<取組の経緯>
地域と家庭のつながりが希薄になりつつある中、町内の小島地区では、公民館が主体となり運営する幼児教室や家庭教育学級などの、家庭教育支援を通じた人と人とのつながりが築かれている。小島地区では親が公民館の幼児教室や家庭教育学級に参加することで、身近な地域で子育てをする親同士、不安や悩みを共有・相談できる仲間づくりのきっかけができる。活動を通じて親も子も、公民館やそこに関わる人を身近に感じ信頼するため、その後も自ら進んで楽しみながら公民館活動に参加するようになる。子どもが中学生になると、地域の人と一緒に夏祭りに参画する。地域の大人は子どもが活躍できる場を意図的につくりバックアップしつつ、子どもが主体となって地域のための行事を作り上げることで、貢献することの喜び、愛着が生まれ、地域の人々とのつながりも深まる効果があるなど、公民館が関わり地域ぐるみの子育てが実践されている。町では、この小島地区をモデルに、地域のつながりを活かした家庭教育支援を推奨し、各地区で公民館を拠点とした持続可能な支援のネットワークづくりを進めていく。

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2.事業の目的、目指した成果

<地域人材による世代を超えた家庭教育支援の確立>
小島公民館で17年間続く家庭教育学級は、学校のように役員や学級生が単年度で交代することがなく、学級生の役員やそのOBが中心となり公民館と協働して運営することで、世代から世代へ運営ノウハウや人と人のつながりが蓄積され、よりよい支援が可能となっている。このことから、子育て経験者である地域人材が研修等で自己の能力アップを図り、町内14館ある地区公民館を拠点として家庭教育学級などを運営し、子育て真っ盛りの親の悩みの解消や、親のニーズに応えるなど、人材自らが家庭教育支援の課題を発見、解決できるよう育成する。その支援を受けた次の世代の親からも同様の人材の育成をし、持続的な子育て支援の仕組みづくりを目指す。事業初年度は応援団を結成し育成した。

<親の悩み・不安の解消や子育て意識、教育力の向上>
家庭・学校・地域において、家庭教育学級・講演の実施や、資料の配布等で啓発を進める。親同士・地域とのつながりづくりにより親の孤立を防ぎ、事業終了後に親に再度アンケートを実施し「気軽に相談できる」人・場所がない人数の減少を目指す。また、学びを支援することにより家庭、地域の子育て意識や教育力の向上を目指す。主な事業として町初の子育てフェスタを実施し、広く啓発を行い、アンケートにて家庭教育に関する意識の高まりを確認する。

<町全体で子育てを支援する機運の醸成>
公民館等地域が主体となってさまざまな人が課題を共有し、世代を超えて家庭教育支援を行うことで、親、支援する人と人ともがつながり、支援の輪が広がる。そうして子どもを親だけでなく地域で育てる機運を町に醸成していく。また行政等各機関が定期的に家庭教育の連絡会議を開くなど連携して、当事業の取組を現状に即した効果的なものにする。家庭、行政、学校、地域が一体となり町に家庭支援の輪を広げる。

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3.事業の概要

<地域人材「いびがわ子育て応援団(以下応援団)」の結成・育成>
家庭教育支援の主体となる地区公民館の館長・主事と、公民館から推薦を受けた子育て経験者である地域人材とが子育てをめぐる課題共有と、その解決手法を学ぶワークショップ研修を行った。この地域人材のうち、以降継続して家庭教育支援の勉強会や研修を行なったメンバーで、家庭教育支援活動をする応援団が結成された。その後、親への子育てアンケートの結果から親のニーズを読み取ったり、子育て支援センター職員から子育て、親をめぐる現状や、町の子育てサービスを学ぶなどの勉強会を行なった。またファシリテーター研修に参加するなど能力アップを図り、町の主催する事業にも主体的に携わるなど、応援団は自分たちの経験を振り返りながら今の世代に合った子育てを学んだ。応援団は親の悩み不安を共有しつつ、親目線での支援を模索する。

<「いびっこ子育てにっこりMAP」の作成・配布>
応援団が企画編集に携わり、町関係部局の保健師、保育士が監修を行なった。文部科学省発行の「家庭教育手帳」を参考にした家庭教育の啓発や、ママおススメのおでかけスポット、子育て関連施設のMAPを掲載し、未就学児の保護者に幼児園を通じて配布したほか、保健センターでの乳幼児健診の際、応援団が親に直接手渡すなど、親の子育てへの関心を深めた。

<「いびがわパパママ子育てフェスタ」の開催>
応援団が企画運営に参画し、親、祖父母及び地域住民を対象として地域全体で家庭を支援する機運を高めるイベントとして今年度初開催した。開催イベントとして1つは、教育専門家による子育てにまつわるパネルトークを企画した。広く名の知れた講師ではなく、親世代がお世話になった恩師を講師として招くことで、より身近な子育てを親が実感し、自分自身の子育てを見つめなおすきっかけとしてもらうことをねらいとした。(計画時と趣旨は変えず、講師を変更し謝礼は大幅に削減となった。)他にも、テーマごとのワークショップで自分の子育てについて話したり、人の経験を聞いたりする場を設け、親、祖父母世代の子育てにまつわる悩みごとの解消や、仲間づくりのきっかけとした。ワークショップは講師による実施のほか、岐阜県発行の「家庭教育プログラムみんなで子育て」を参考にしながら、応援団がファシリテーターとなり進行した。応援団の打合せの中のアイディアで、イベント中の親や祖父母の呼称は「パパ」「ママ」や「じいじ」「ばあば」などと親しみやすいものとした。

<公民館等主体の家庭教育学級等の企画・実施>
公民館、幼児園、学校においても親子体験活動、家庭教育講演、子育てサロンなどを行ない、学びによる教育力の向上や、子育て仲間、講師や役員の地域の人とのつながりづくりによる子育て不安の解消を図った。

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4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制

町全体で子育てを応援するネットワークを構築するため、公民館、教育委員会(社会教育文化課、学校教育課)、住民福祉部(健康増進課、子育て支援課、子育て支援センター)、保健師、保育士などの専門家で構成する行政、公民館、学校、幼児園から成る家庭教育支援連絡会で、定期的に各機関で行なわれている家庭教育支援の現状や課題の情報共有や意見交流を行ない、連携を深めるという計画を立案し、当事業担当課からの働きかけにより実際に連絡会議(今年度初回1回)を開催した。会議では子育てフェスタへの協力や、子育てMAPへの監修依頼なども行なった。またこの会議をもつことをきっかけとして関係機関と連携が深まった。子育て支援センター職員が応援団の研修に講師として協力したほか、子育てフェスタ実施の際には啓発掲示物の準備や、講演への登壇、また子育てサロンへのアドバイザーとして連携部署職員が参加するなど、事業をより効果的なものにすることができた。今後は、子育て支援センターで活動する子育てボランティアの情報共有やそのネットワーク活用などの支援の連携や、応援団でキャッチした特に専門的な支援の必要な家庭については、福祉部局に支援をつなげるよう、連携機関と連絡体制をとることを想定している。

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5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果

(得られた成果)
・応援団がまず13名で結成され、そして研修を行ないながら、継続的に活動をしていること。

・子育てイベントへの参加者は100人を目標としていたが、イベント内容やPRを効果的に行なった結果、動員を行なっていないにも関わらず約300人の来場があった。またイベント終了後へのアンケート回収結果においては「家庭教育に対する意識が高まった」人の割合が80%を超えた。アンケートの結果から子育て世代だけでなく幅広い年代の人が来場し、広く子育てへの関心を高めた。子育てに関わる大きなイベントを初めて町が開催したことで、子育てを応援するという町の姿勢を、町民に示す旗揚げ的な機会となった。

・子育てフェスタのPRのために、応援団が直接町内の小学校に出向き、応援団結成の経緯やフェスタの構成、楽しみ方を保護者に直接働きかけ、その反応を伺うことで、応援団自身のスキルアップや取組への自信獲得につながった。

(想定していたが得られなかった成果)
・小学校の子どもを持つ親を主な対象として子育てフェスタを実施し、PTA役員会へ出向いて参加を促すなど直接PRを行なったが、当該対象者の参加が想定より少なかった。フェスタへ該当の親が参加し易い、したいと思える実施形態の工夫が必要である。また子どもと関わる時間は子どもが大きくなるに連れ減少していくので、子どもと接する時間が長い幼児期からこういった家庭教育に関わる学びの場への参加意識を高めていくことも必要である。

・応援団メンバーがいる地域が一部で偏りがあり、そのまとまりで活動しやすい半面、他の地域への応援団の活動の広がりに限りがあった。

・応援団は小島地区の家庭教育学級に関わるメンバーが中心となったことや、当初のワークショップ研修のときには参加していた幅広い年代、また男性の地域人材を応援団に巻きこむことができなかったことなどから、メンバーは30代から50代の先輩ママという限られた属性となった。これは現役の親世代に近い年代で、親と同じ目線からの支援につながる半面、地域ぐるみの子育てを目指すという点では多様性を欠いているとも言え、属性に縛られずさまざまな人材を応援団としていくことも必要と考えられる。

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6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ

・応援団の選出は、本事業の家庭教育支援の中心となり、応援団と協働する地区公民館の館長から、公民館活動等でリーダー的素質のある子育て経験者の地域人材を発掘し推薦してもらった。結果的に年齢30代〜50代の母親という中心メンバーで結成されたことで、子育て真っ盛りの親の年代と近く、自分の子育てを振り返りながら親に寄り添い、また同じ目線でアイディアを出し事業を実施することができた。

・子育てフェスタの際には、応援団の持つ人脈でPRを広めたり、応援団メンバーはもちろん、パパ達も豚汁配布イベントの運営や、事前の会場設営、装飾等準備に協力し、個々の持つ技術や経験が生かされた。地域人材の持つ潜在力を発揮できる場の創設により、その人達の活躍を引き出すことが可能となる。また、応援団の中でも既に地域での家庭教育学級の運営経験・実績のあるメンバーが中心となることで企画や段取りなどのノウハウが生かされ、自らも楽しみながら活動するその意識がその他のメンバーにも波及していき活気が生まれている。

・応援団育成過程で、町が発行する家庭教育啓発資料の編集や、イベントの企画運営に参画するなど実践の場を作ることで、メンバーの能力を高め、意識づけを行った。

・応援団の活動の新聞への掲載や、学校への事業のPRで、応援団の存在が認知されつつある。新聞に大きく取り上げられたことで、新聞を読んだ地域の人から応援団メンバーに声がかけられ励みにもなった。応援団は子育て、住民協働と世論の関心の高いものに関連しているため、イベント開催のPRも絡め応援団の趣旨や熱意を新聞社へ情報提供したことも大きな記事となった一因であると考えられる。

・子育てフェスタのPRではチラシを配るだけなど一方的なものでなく、PTA役員会などへ応援団が出向き、直接保護者に伝えることで、保護者から、フェスタ対象者の絞り込みや、参加して学べることの曖昧さから参加する意味が伝わりづらいといった指摘を受けるなど、得るものがあり今後の活動に向けて信頼関係を築くことにもつながった。子育てにっこりMAPを親に直接配布し反応をその見られることもそれと同様で、出向いて直接会話することはメリットが大きい。

・今まで連携の機会が少なかった福祉部局と事業を通じて初回会議を開いたことで、町全体で同じ方向性で家庭を支援することの課題を共通認識し、連携する意識が部局間で高まった。もともと小さい町であるが、課題を共有することで、事業について会議の場以外での意見交換を行なう機会が増え、子育てフェスタをもっと親子連れで来られるようなイベントにすべきなどのアドバイスを受けた。

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7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略

・今後も町関係機関が家庭教育支援連絡会の会議を実施することなどを通して課題、現状を共有しながら、応援団の人材育成の研修や活動のバックアップを継続する。応援団が地区公民館における家庭教育学級の企画運営をするなど、子育て仲間の輪、世代を超えた地域の輪を広げる活動を行なうことを目標とする。応援団は定期的な会合、研修を継続して親目線で悩み不安を共有し親に寄り添いながら、地区公民館において家庭教育学級等を地域の実情に合わせた形で実施するため、地区公民館との会議などで意見交換や課題の共有を図り、地域との関係づくりを進める。

・町全体での支援としては、子育てフェスタの継続実施など、親のニーズを取り込み、応援団のアイディアを生かした事業を計画立案実施する。またリーフレット配布等で保護者、町民への啓発も行なっていき、親の子育て意識や教育力の向上を図る。事業3年目を目途に、もう一度親にアンケートを実施し、気軽に相談できる人や場所を持たない人の人数を調査し成果を計る。

・国の予算措置は今年度のみであるが、前述の子育てフェスタの講師謝礼を予算より少なく抑えるといった講師選定の工夫などで、町の自主事業として継続していきたい。

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事例シート(ダウンロードファイルに同梱)


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この情報の問い合わせ先

文部科学省 生涯学習政策局 社会教育課 公民館振興係
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
電話:03-5253-4111(内線2974)