公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム(H26)

地域振興支援プログラム

もくじ

支援プログラムテーマ
受託自治体名
取り組みタイトル
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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)
2.事業の目的、目指した成果
3.事業の概要
4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制
5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果
6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ
7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略
事例シート
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支援プログラムテーマ

テーマ4 地域振興支援プログラム

受託自治体名

和歌山県海南市

取り組みタイトル

公民館活動による地域資源の活用と地域の繋がり力の構築

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(PDFファイル)

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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)

平成17年4月1日、旧海南市と旧下津町が合併して誕生した海南市であるが、公民館が各小学校単位に設置されている海南市地域と、公民館が設置されていない下津町地域では生涯学習関連事業の取組みに大きな差が見られるものもある。平成24年度に策定した「海南市生涯学習推進計画」では、公民館が未設置である下津町地域でも公民館を設置することを目標に掲げている。平成25年度から本プログラムを活用して各地区での公民館活動の推進を図ったが、各地区では次のような課題が明らかになった。
大崎地区では、高齢化率が約44%という状況である。商店の廃業により住民の買い物拠点が消失していることや、高齢者が地域で気軽に交流を深める場所が無いことが課題であった。塩津地区では、少子化等により、地区に伝わる伝統芸能である「鯔踊り」の次世代への継承や高齢者の居場所づくり等が課題となっている。下津地区では、児童館の利用者が減少しており、子どもたちの居場所としての公民館活動を検討する必要がある。
平成26年度には、仁義地区、加茂第一小学校地区、加茂第二小学校地区において、重点的に協議を行った。地区代表者との協議を重ねる中で、従来濃厚に存在した地域の地縁や血縁が希薄化しており、それに代わる地域のネットワーク機能を果たす基盤としての公民館活動が必要であるとの認識が高まった。さらに、若い世代の中には「高齢者から伝統料理を学びたい」などの潜在的な学習ニーズがあり、公民館活動において具現化する必要があると考えている。

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2.事業の目的、目指した成果

大崎地区では、住民の学習・交流拠点としての公民館活動の展開と同時に、高齢化による買い物弱者の発生が予想されていることから、地区の有志による組織である“げんき大崎”との連携による水産資源を活用して魚を販売するなど、地区住民がより安心し、楽しく生活を続けられる環境づくりを目指している。塩津地区では、「鯔踊り」の継承について、同様に少子化により継承が困難という課題を抱える南野上地区の「念仏踊り」等の継承に取組む団体と連携し、市内全域に活動を広げることを目指した。また、高齢者の居場所が無いという課題に対して、月1回程度高齢者が楽しめる催しを開催し、地区住民が交流できる機会を作ることとした。下津地区では、今年度は「子どもたちの居場所」としての公民館活動を検討し、退職教員との連携による事業等の展開を目指した。その他地区(仁義、加茂第一、加茂第二)については、地区での説明会を通し、まずは区長等の地区代表者に公民館の必要性を理解して頂けるよう意識変化を目指した。
なお、本年度も「地域の過去・現在・未来を考えるプログラム」を開催することで、旧下津地域及び旧海南地域の公民館関係者の公民館活動に対する理解を深めることを目指した。(市単独事業として予算を計上)

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3.事業の概要

大崎地区では平成25年10月に地区所有施設を拠点として活動を開始し、まず、地区住民たちが、高知県四万十町で開催された『地域再生実践塾』に参加するなど、先進的な取組みを学んだ。また、地域の現状を客観的に把握するためのアンケート調査を実施するなど、生涯学習課と協力しながら住民が主体となった学習活動を展開した。さらに、買い物弱者対策として、漁師の協力により公民館前での魚の販売や、総務省による「過疎集落等自立再生対策事業」の補助金を活用し、水産加工所の整備を行い、農水産物や惣菜の販売を開始した。塩津地区では、和歌山県から「無形民俗文化財保護育成事業」として指定を受けるとともに、芸能文化の継承を目指す他の団体と連携し、文化庁から補助を受けることで、活動を大きく広げることができた。下津地区では、「子どもたちの居場所」として、平成26年11月から毎週水曜日の放課後に、下津小学校の退職教員による「放課後子ども教室」を開催している。また、地域人材の活用による「歴史講座」や「リズムウォーキング」等を開催し、文化活動や健康づくりの拠点として公民館活動を進めている。その他地区(仁義、加茂第一、加茂第二)では、各地区の区長に集まっていただき、公民館活動についての理解を深めるための説明会を開催し、その後、区長長と生涯学習課で具体的な推進方法について検討を重ねた。その結果、仁義地区では区長たちが「パソコン教室」の開催を決定し、講師についても自分たちで探す等、地区が主体となった事業を展開するようになっている。
なお、「地域の過去・現在・未来を考えるプログラム」では、本年度も旧海南市地域の公民館関係者や社会教育委員にも参加を求め、全市的な研修機会として2月21日に1回目を実施した。2回目については、3月25に実施を予定しており、和歌山県社会教育主事等連絡協議会の和歌山市、海南海草ブロックの研修会と共催することで参加対象者を拡大したいと考えている。

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4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制

本事業における連携体制の構築について、大崎地区を例に記載すると、大崎地区では公民館が核となり、自治会、地区有志の団体である「げんき大崎」、漁協、老人クラブ等の連携により情報を共有しながら事業を実施している。また、行政機関からは高齢介護課、社会福祉課、健康課、環境課とのつながりが生まれ、行政と公民館との協議に基づいた事業が推進されるようになった。さらに、本市では和歌山県が推進する「共育コミュニティ事業」により公民館を中心に小学校と地域の連携を推進しているが、大崎地区でも公民館ができたことで連携が始まった。なお、公民館活動への理解を深めるための研修会の内容や、全市的な公民館活動をどの様に推進するかについては、和歌山大学地域連携・生涯学習センター長及び同講師との協議を随時行っている。また、下津町内の各区長や各種団体の関係者による下津地域公民館活動推進員会を組織し、具体的な内容を協議する場とした。海南市公民館連絡協議会会長(派遣社会教育主事として教育委員会に勤務した経験あり)にも、本事業への参画を求め、先進地視察や住民との協議の場に参加している。なお、社会教育委員会議や教育委員会の点検評価等において、本事業を評価する場を設けた。

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5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果

(得られた成果)
最も早くから公民館活動がスタートした大崎地区では、首長部局の環境課や高齢介護課に加え、小学校との連携も進むなど、公民館がハブ機能を果たし、地域課題解決に向けた住民主体のネットワークが形成され始めている。加えて、補助制度を活用した水産加工所の整備が完了するなど、ハード、ソフトの両面において、地区の資源を活用するための基盤が整いつつある。平成26年度から具体的に協議を進めた地区(仁義、加茂第一、加茂第二)においても、下津地域公民館活動推進員会や地区説明会、個別の協議を通して、公民館への理解が進み、住民が『公民館は地域に必要である』という意識をもったことは大きな成果であった。

(想定していたが得られなかった成果)
和歌山大学と組織的な連携まで至っていなかったことから、大崎地区で予定していた和歌山大学と連携した防災マニュアル作りについては、主に担当していた大学院生が卒業したことで、当初の予定より進行が遅れている。「地域の過去・現在・未来を考えるプログラム」参加者に対しアンケートを実施したところ、「公民館活動について理解が深まったかどうか」を問う設問について、「理解が深まった」との回答を当初は80%と目標を定めていたが、76.9%という結果となり、目標を達成することができなかった。

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6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ

公民館を地域に設置し、公民館活動を通した住民の交流や学習を行うことで、地区住民がより安心に、楽しく生活できる環境づくりを行いたいと考え取組みを進めてきた。また、その過程において、住民が主体となり、「公民館は必要である」との認識を高めることに重点を置いた。
下津町地域における公民館活動を協議する場として、下津地域公民館活動推進員会を設置し、旧下津町地域の全ての地区の区長及び、各種団体の代表者に参加して頂いた。会議では、公民館活動の必要性や地域の状況を話し合ったが、公民館活動を具体的に進めるためには、講師を招いた研修会よりも、各地区での説明を行い、地域住民が公民館活動に対する理解をより深める必要があるとの意見が出た。
加茂第一小学校区では、まずは地区の区長長に対し、公民館活動の必要性についての事務局の考えを何度も会って伝えたところ、理解を示していただき、その後の進め方を一緒に検討して頂けるようになった。区長長の意見により、小学校区の区長を集めて説明会を開催し、他地区での公民館活動の内容や、時代の変化に伴い地域が大きく変化する中で、人間関係を繋ぐためにも公民館活動が必要であると訴えた。しかしながら、公民館の必要性を理解して頂けない区長もおり、説明会の雰囲気は決して良好とはいえないものであった。その後、区長長の考えにより、区長を対象に公民館活動に関するアンケートを実施し、2回目の地区説明会を経て、区長長が各区長に働きかけをして頂いたことで、徐々に公民館への理解が深まり、地区のニーズを自ら考え、事務局に対して事業を提案する区長も現れ、事業が円滑に進むようになった。また、加茂第一小学校区では、当初は公民館の役割、必要性など公民館の概念を中心に説明したが、区長長から「実は各区長は公民館の必要性は理解できていたものの、活動の具体的な内容や、予算をどういったことに使えるかというイメージがつかめていないことが最大のネックとなっているのではないか」との課題が提起された。そこで、区長長と協議しながら新たな資料を作成し、説明を行うことにより、活発に意見交換をすることができるようになった。
加茂第二小学校区でも、まずは区長に対して公民館活動に関する説明を行った。区長からは、農業が盛んな地域であり生涯現役で農業に従事する人が多いこと、神社の行事や農作業を通し、地域の人間関係が十分に残っているとの話があり、「公民館活動による地域の繋がりづくり」という説明から、公民館活動の必要性を強く感じて頂くことはできなかった。そこで、下津地域全域の公民館と位置づけている下津防災コミュニティセンターの主事のネットワークにより、幼稚園に子どもを通わせている若い母親と話をする機会を設けたところ、公民館活動に対して非常に関心が高いことが分かった。その後、同じ幼稚園の母親仲間により公民館活動の検討を始め、自分たちで講座を企画してチラシを作り、実施したところ好評であり、その後も次々にアイデアを出して講座を企画するようになっている。
なお、生涯学習課は市の財政状況に鑑み、新たな公民館施設を建設するのではなく、既存の地区集会所等を活用することを提案しているが、公民館を推進していく拠点となる施設を重視する地区もあり、現在も課題となっている。また、小学校区でもエリアが広すぎるという課題があった加茂第一小学校区では、当初は拠点を1つに定める方向で検討していたが、その結果住民の理解が得られず、活動につなげることができないという状況があった。そこで、現在では計画を変更し、さらに小さな「字(あざ)」単位で公民館活動を考え、それぞれの地区にある児童館等の施設を利用する方向で進めている。このような地域の実情に応じ、柔軟に計画を変更したことも、活動を進めるうえで良い結果となったと感じている。今後、加茂第一小学校区では、字単位の活動を取りまとめ、地域全体の公民館活動を推進していくための機能として、生涯学習課に専任の管理人を配置する等の対策を検討している。
他の地区でも、地区説明会や「地域の過去・現在・未来を考えるプログラム」を通して公民館活動に対する理解が深まったことで、地域住民が主体的に公民館活動を考え、地域の実情に応じ、人的・物的資源を活用した公民館活動を展開するようになった。

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7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略

大崎地区については、この2年間の取組みを経て、平成27年度から条例の中に公民館として位置付ける予定としている。そのため、現在、地区において公民館活動推進員の人選を行っており、来年度以降は推進員を中心として継続的に事業を行う。また、首長部局との積極的な連携を進め、公民館のハブ機能を高めていきたいと考える。さらに、水産加工所の活用については、“げんき大崎”と連携し、高齢化する地域の台所とした活用を図ることで、食への不安という地域課題の解決を目指していく。
塩津地区からは、平成28年度から条例設置の上で公民館活動を進めたいとの要望が出されている。また、他地区からも公民館活動を具体的に進めたいということで、来年度以降の事業内容の提案を受けていることから、今後も地域住民との話し合いに重点を置きながら、行政と市民が連携し、地域課題解決のためのツールとして公民館活動を展開していきたい。
和歌山大学地域連携・生涯学習センターとの連携については、教員が本市社会教育委員であることもあり、本プログラムでは研修機会や事業の展開方法等に専門的見地からアドバイスを頂いた。また、和歌山大学との連携についても、防災に関する研究者と大崎地区との連携による事業が実施されるなど、研究者個人と地域・公民館との連携が見られた。しかし、大崎地区で予定していた防災マニュアル作りが、和歌山大学の大学院生が卒業したことにより、進行が遅れたという点から、研究者個人だけではなく、大学との組織的な連携が必要であることを感じた。今後も、公民館活動を通した地域活性化には、高等教育機関との連携が必要不可欠であると考える。
来年度以降、大学と本市の公民館活動との連携体制の在り方については、継続的に検討をしていきたい。

今回のプログラム受託を契機とし、首長部局との連携が公民館活動の幅を広げるという面で非常に有効であることが分かったが、平成26年度までの取組みでは担当者レベルでの情報共有に留まり、組織的な連携まで至らなかった。今後は、公民館が地域、行政を繋ぐハブとして効果的に機能するよう、組織的な連携体制の構築について検討していく。

・大崎地区・・・平成25年10月から、地区所有施設を拠点として公民館活動を開始。地区住民が主体的に先進地の視察を行った。さらに、地域の現状を客観的に把握するためのアンケート調査を実施。買物弱者対策としては、地区の有志の団体である“げんき大崎”が主体となり、総務省による「過疎集落等自立再生対策事業」の補助金を活用することで、水産加工所の整備を行い、平成27年2月から水産物や農産物の販売を行い始めた。

・塩津地区・・・地区に伝わる伝統芸能の継承を目指した取組みを進めているが、和歌山県の「無形民俗文化財保護育成事業」や、同様に芸能文化の継承を目指す市内の他団体と連携して、文化庁の「文化芸術振興費補助金」を活用することで、活動の幅を広げている。

・下津地区・・・「子どもたちの居場所」として、毎週水曜日の放課後、小学校の退職教員が指導者となり「放課後子ども教室」を開催した。

・その他地区・・公民館活動に関する説明会を開催。仁義地区や加茂第二地区では、地区住民が主体となった事業が展開し始めた。

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事例シート(ダウンロードファイルに同梱)


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この情報の問い合わせ先

文部科学省 生涯学習政策局 社会教育課 公民館振興係
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
電話:03-5253-4111(内線2974)