公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム(H26)

その他地域の教育的資源を活用した地域課題解決支援プログラム

もくじ

支援プログラムテーマ
受託自治体名
取り組みタイトル
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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)
2.事業の目的、目指した成果
3.事業の概要
4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制
5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果
6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ
7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略
事例シート
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支援プログラムテーマ

テーマ5 その他地域の教育的資源を活用した地域課題解決支援プログラム

受託自治体名

石川県七尾市

取り組みタイトル

公民館と多様な地域主体の協働による『地域循環エネルギー学習』事業

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1.この事業に取り組んだ背景(地域の現状、抱える課題)

七尾市能登島地域は人口約3000人。約1000世帯・20町からなる周囲72kmの島で、日本海側最大の規模を誇る「のとじま水族館」を擁し、観光・漁業・農業が中心の地域である。H16年市町村合併により七尾市と合併した。合併前は一島で能登島町だったこともあり、現在でもそのまとまりを保持する地域である。高齢化率は34.8%、中学校は平成24年3月に閉校し島外の中学校と統合しており、地区にあるのは能登島小学校1校である。旧町単位で行政サービスを行う市民センターがあり、そこに地域づくり協議会が設置されていて、これからの自治を担うような活動や市民活動の支援、とりまとめ、調整等を行っている。公民館は市内に22館設置されており、能登島には能登島公民館が1館である。

平成23年より能登島地域づくり協議会では、地域資源可視化と整理を目的としてGISを使ったデータ集積を始めた。調べるうち、地域で活動する団体はたくさんあるが人が減っているので動くメンバーは同じ。それが疲弊やマンネリを招いている事や、一つの大目標に向かって協働する必要性が分かって来た。

また同じ平成23年、能登の里山里海が世界農業遺産に認定され、松茸が出る山の環境を取り戻すことを目的として里山整備をする活動(能登島松茸山再生研究会の立ち上げ)が始まった。その実習場所として公民館裏山が整備されたものの間伐材の利用については未定であった。山の保全活動は始まったが、山主の高齢化と後継者不在により大部分の山は放置され、急速に荒廃している状況である。

石川県ではCO2削減に向けて地域での取り組み推進を目的として、学校や公民館が中心となって進める「いしかわ地域版環境ISO」事業を進めており、能登島公民館は毎年CO2排出量の集計と報告、環境活動を実施するという登録申請をすることで、平成25年にいしかわ地域版環境ISOの認定館となった。公民館では「壮年世代男性の公民館活動や地域活動への参画が課題」として、核となる人材掘り起こしのため壮年男性向けの講座を開設していたが単発の行事であり、地域課題に向けての取り組みや参加の動機付けが不充分だと感じていた。地域版環境ISO認定をきっかけとして「薪利用」「壮年男性」「里山整備」のテーマが見え始めるも他との連携はしていなかった。

また公民館が子ども対象の地域学習行事を休日に行おうにも、習い事やスポーツクラブ等が優先されたり、子どもたちが参加したい行事と大人が学ばせたい内容にミスマッチ(例えば魚釣りや報恩講御膳を食べる体験活動等)があったりで参加者が集まらなかったり、学校が行う地域学習授業は、自然環境や風習等になると教員だけでは対応できないという課題があり、地域学習について互いに連携が必要であるという認識が生まれ始めている。

この様に、少子高齢化する地域において、急速な里山の荒廃による世界農業遺産認定の里山里海の魅力半減・後継となる壮年世代の人材発掘や育成、愛郷心を育むような子どもたちの地域学習について、学校・地域・公民館が連携していくという課題がある。

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2.事業の目的、目指した成果

公民館と多様な地域主体が協働し、地域一体となって『地域循環エネルギー学習』を行うことで、地域課題解決に向かう活動を生み出すことを目的とする。学習活動が参加者の意識を変え行動にうつすような講座をコーディネートする必要があり、そのためには座学のみの講座で聞いて終わりとするのではなく、ファシリテーターを入れ、参加者が自ら気付き、行動を起こすような自発的で創造的な学びとしていく。

事業実施によって以下の成果を目指す。
・住民自身が地域の資源を再発見すること
・荒廃する自然環境に対して危機感を持ち、生活に基づいた里山保全サイクルを見直すこと
・地域を誇る気持ちの醸成と次世代の担い手育成
・壮年男性の活動への参加促進
・講座にファシリテーターを入れることで自発的に取り組む創造的な学びとなり、参加者の次のアクションを引き出すこと

「使えない」と思っていたものが資源だったという気付き、うまく使って地域を循環させることで愛郷心の増大、楽しく活動する大人の背中を見て子ども達も帰ってくるという好循環が生まれるような地域の人の意識と行動の転換が長期的な目標とする。

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3.事業の概要

※各回の参加者は公募の他、町会等からの推薦者等20名程度を見込む

@地域課題の認識・現状把握
現状分析と課題の設定、地域資源の確認を目的として、専門家を招いての講演会を行った。全国の事例に学び、能登島での展開や参加者に自分事として捉えてもらえるよう、Aのワークショップを併せて行う。

・『軽トラとチェーンソーで晩酌を〜木の駅プロジェクト』
・『素人でもできる!能登島木の駅と木質バイオマスの可能性』

Aファシリテーターを交えた学びの場の創造
一人ひとりが自主的に考え、積極的に活動できることを目指した会議運営や実践に向かって行動にうつす意識付けとして、ファシリテーターを交えたワークショップを行った。

・ワークショップ「島でもやりたい木の駅プロジェクト」
・ワールドカフェ「能登島での可能性と実現への課題」
・類似他団体との交流会「活動内容紹介と交流の模索について」
・講演後の意見交換「1年のまとめとこれからについて」

B地域づくり協議会と連携した先進地視察
講演で聞いた内容を現地視察し、薪利用と地域経済が繋がる仕組みやエネルギーの地産地消についての学びを深める目的で以下を視察。

・岐阜県恵那市山岡木の駅→現地の実行委員の話を積極的に伺う
・愛知県豊田市旭木の駅プロジェクト→地域の規模感やNPOとの連携について伺う
・石川県白山市の白山しらみね薪の会薪の学校参加・交流会
→里山保全や薪づくり・間伐技術・機械操作を学び、実践に役立てる

C小学校への地域学習機会の提供
子どもたちと大人が地域課題の共有と、大人は学んだことを教える立場になることでの学習の深化を目的として能登島小学校6年生13名への出前授業を行う。担任教諭とも事前にどのような内容にするか打ち合わせし、環境保全と人の営みがエネルギー利用サイクルを生んでいたことや、体験活動を内容とした学習プログラムを作成。講座参加の地域の方では対応できない専門的なことを県立大学講師に補足していただき、荒れた山と整備された山の違いについて学ぶ。

・「里山とは?山の環境を守るために私たちができること」
・「生活の変化に伴うエネルギーと山の変容について」+薪割り(電動)・薪ストーブ体験
※薪割り体験の指導や体験に基づくお話を、講座参加者に依頼する

D課題解決に向けての実践活動(能登薪人の会・能登島松茸山再生研究会等と連携)
・活動をPRし仲間を増やすための広報紙を5号作成
→島内全戸配布+市内公共施設に設置→他地区で類似活動する団体と知り合う
・参加者が家で薪使いを楽しむきっかけづくりとして、ロケットストーブ作りの講座
・集まって薪割りをしながら情報交換「薪割り会」を開催→仲間作り
・新たな参加者の開拓を目指し、地域の人が一番集まる地区文化祭での活動PR
(薪ストーブを利用してのコーヒー提供や焼き芋作り・薪割り機の紹介・薪割り体験)
※薪割体験の指導は、これまでの講座参加で学んだ人に依頼

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4.計画立案段階及び取組実施段階における関係者、団体等との連携・協働体制

一つひとつの活動に対して協働先の団体があったが、それぞれの本来事業と掛け合わせて、WINWINになるような調整を行った。(例えば、毎年調査にきているけれど接点がなかった石川県立大学の先生に、面識のあった地域づくり協議会につないでもらい小学生向け学習会の講師に来ていただいた。将来的に地域通貨の使い先になったらいいと考えている、地元お母さんたち主催の朝市の日に同じ場所でロケットストーブ作りの講座を開催したなど。)
その他、事業名にしてある通り初めの企画段階から話し合いを行い進めた。

【計画立案段階】
能登島地域づくり協議会・能登島松茸山再生研究会(農林課)・能登島公民館の実務者で、年度初めに事業予定の擦り合わせを行った。公民館ではたたき台となる学びのプロセスや事業内容等作成、アイディア出しは公民館と松茸山再生研究会、講師や視察場所の選定などは地域づくり協議会が主担当。各団体の総会で、今年は連携して事業を進めることを確認。

【事業実施段階】
参加呼びかけを公民館が、町会との橋渡しを地域づくり協議会が行った。それぞれの実務者には事前練習をしてもらいワークショップ時のテーブルファシリテーター役も担ってもらった。当日司会は公民館が行うが、補足説明やアシスタントのようなサブ的立場で地域づくり協議会専門員が関わった。

【評価を行う段階】
ひとつ終了するたびにアンケートの分析と実務者の振り返りを行い、それを持ち寄り定例会等で共有できるようにした。その中で今後の方向性やそれぞれが可能な範囲について協議を行った。講演会で講師に来ていただいた先生方には今年の全体評価もしていただいた。

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5.この事業によって得られた成果・得られなかった成果

(得られた成果)
【アンケート等に基づく数的成果】
・平均講座参加者数20.5人
・細かいものも含めた講座数12(内、2〜3つに参加した人が60%・4つ以上が20%)
・講座参加者の女性割合39%

【表1】

【表1】は主な事業で参加者の割合の変化を集計。毎回最も多かったのが60代。今現在山や田畑に一番力が入る年代でもあり、関心の高さがうかがえる。これからの担い手となる50代以下も、足すと3割以上となり、担い手の育成に一定の効果があったと思われる。特に視察研修には若い世代が多く参加してくれたこともあり、これから能登島での活動をどうしたいかというところで具体的な視野が広がった。

【表2】

【表2】は事業に参加し、能登島でもできると思った度合いの変化を測った。キックオフ講演会を聞いた時点ではほとんどの人が「できる」と思ったが、視察・視察報告会と進めるうちに割合が減っている。更に個別に聞くと、「現地で現物を見、『自分なら』と具体的に考えると、難しいこともある」と感じたことが原因。自分事と捉えられるようになったという点では成功で、ワークショップでは、見てきた通りではないが能登島にあるものでできそうな落としどころが見つかった。

【学習成果】
・地域の現状把握と課題の共有(荒廃する地域への危機感)
・専門家のアドバイスや外部の視点を受けて地域資源の再発見
・女性の参加多数により、食や観光と結び付けての取り組みに発展の可能性
・子どもたちが保護者に向けて「環境だより」を発行(アウトカム)
・実際に動き始める参加者が複数出現
自発的に薪割りを手伝いに来てくれた人1人×2回
自分の山に足を運んでみた人2人
→あまりに荒れていて、一人ではどうにもならないことを認識
→必要な道具や仲間と一緒に行かないと何もできないことがわかった
薪ストーブ導入を検討3人(島内レストラン・民宿・一般家庭)
・県の事業で表彰(地球温暖化防止有料活動等「エコギフトによる頑張る地域・学校支援プロジェクト」金賞受賞)
・連携のノウハウの蓄積と職員の視点の変化(特に目的の設定や評価についての考え方)
・今後目指したい活動の全体図作成と共有

《平成26年4月→平成26年9月》


【里山整備の成果】
薪割り会10回開催
割った薪の量・・・約8トン
使用した薪の量・・・約40キロ
行事でかまど炊きご飯カレー・ドラム缶風呂体験
焼き芋づくり・薪割り交流会バーベキュー
使用した原木量・・・約50キロ(キノコ栽培中)
納入した薪の量・・・5キロ×170束(島内キャンプ場)
5キロ×5束(他団体が行う都市農村交流事業のみそ作り)
納入した柴の量・・・約30キロ(地元の火祭り用)
受け入れた木材量・・約8トン
※市が伐採する支障木中心

(想定していたが得られなかった成果)
@40代〜50代男性の継続的な参加
50代以下は足すと3割にはなったが、仕事をしている世代でもあるため継続的な参加が難しかった。今後、40代に参加してもらえる内容の検討や、Aにも繋がるが中学生の親世代の歳でもあり、Aと合わせて今後実現させたいと考えている。しかし、後継者育成の前に、その上の世代がやろうとする態度を見せることもまず必要である。

A中学生への地域学習出前授業
校長先生と話をしていたが、実務担当は教頭先生と担任の先生だったようで、こちらの要望が行き違ってしまい担任の先生に通っていなかったことで今年はできなくなった。ただ、中学校の統合によって島の中学生は島外に通っていて、統合まではあった接点がすべてなくなってしまい、島内の行事に出てくることも難しくなっている。本来なら愛郷心を育むのに一番アプローチしたい層であるため、27年度もう一度調整を試みる予定。

B里山里海の価値向上
一定数の薪作りや納入、行事での使用はできたが、規模が小さかったことや人の目につきやすい場所ではなかったことから、景観がよくなったとは言えない状況。今後、道路沿いの町会所有の山等で目につきやすいところを実習林としていけないか要検討。

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6.事業実施により構築できた取組プロセス、それを実現するためのノウハウ

事業実施により、これまでは公民館単体で行っていた事業を他団体と協働で行うことができた。全体のプロセスの確認やワークショップの行い方、事業の実施、各会の振返りまでを地域づくり協議会や松茸山再生研究会と協議しながら進めることができた。それを実現するためには、事務局レベルでの連絡会を密にし、持ち帰った内容をそれぞれの団体で再度共有してもらうことが必要で、今回はそれがスムーズに進んだ。また、参加者の自主的な動きが見られ始めたタイミングを見ると、ファシリテーターを入れた講演・ワークショップ→視察→フィードバックの流れが効果的だったと考えられる。

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7.今後、事業の継続・展開の具体的な方針・戦略

今年の取り組みで「想定していたが得られなかった成果」である、40代〜50代男性の継続的な参加による後継者の育成、中学生への地域学習出前授業開催により、中学生の地域の愛郷心を育むこと、規模が小さく目につきやすい場所ではなかったことから、景観がよくなったとは言えない状況であった里山里海の景観と価値の向上も目指したい。町会所有の山等で目につきやすいところを実習林としていけないか要検討である。

これらの改善を中心として2年目に取り組む。特に大事に考えているのが、一人ひとりのやりがいや充実感、モチベーションの継続に焦点を当てていくことで、自主的な活動に繋がるような事業展開を工夫しながら実施していくことを目指す。そのためには参加者の以下の気持ちを充実させたい。

・思ったことを自分たちで実現できる
・自分にとってプラスになる(収入面・能力面)
・人に褒められる・色んな出会いがあり、楽しい

また、何か起こっても皆で話し合い、知恵を出して乗り越えていけるような仲間作りをしておく必要があると感じていて、交流が促進していく取組となるよう進める。今後の組織体制としては、講座参加者がグループを作り活動することの必要性が分かってきたことから、学習を発展させ学びを地域に還元していく役割を担うため、15名程を核として公民館内に「(仮)里山改善部」を立ち上げ、学習活動を継続させていく。その中で、それぞれが得意分野を示せるよう考えたい。【例:高齢男性(重機の手配や昔語り)・壮年男性(薪作り作業・アウトドア料理)・女性(食事作りや情報発信)】

今後能登島では(平成28年度の予定)公民館と地域づくり協議会、市民センターが合わさる形でコミュニティセンター化(まだ検討段階であるが完全な地域運営ではなく、まちづくりの拠点であるコミュニティセンターと社会教育を担う公民館の併設・職員の兼務)が予定されており、今年度当事業の実績から27年度の地域づくり協議会事業の柱の一つとして当活動が位置付けられることになっている。対外的である観光客も含めた体験交流事業となるようなプログラム開発や支援、地域通貨に関する事などは地域づくり協議会のコミュニティ事業部として運営できないかこれから慎重に検討を行う。例えば地域通貨の範囲等については、市内の地域づくり協議会は合併前の役場・公民館をベースとして設置されていることからも能登島地区内でまず取り組み、その中で他地域への広がりがより有効でありそうな検討がなされた時に連携を模索してはと考えている。公民館は社会教育機能を活かし、その下支えとなるような地域の人材育成を主な取組として協働していく考えである。

地域資源を見直し地域を循環させ、愛郷心やUIターン者が増大する好循環を生み出す環境作りを、この事業を継続発展させていくことで5〜10年かけて目指したい。

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事例シート(ダウンロードファイルに同梱)




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この情報の問い合わせ先

文部科学省 生涯学習政策局 社会教育課 公民館振興係
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
電話:03-5253-4111(内線2974)